心房細動とはATRIAL FIBRILLATION

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  • 心房細動カテーテルアブレーションの実際

心房細動とは

心臓、左心房の働き

心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役目をしております。全身を駆け巡り酸素が消費された血液は、右心房→右心室→肺へと送られ酸素交換されます。酸素交換された血液は、肺静脈→左心房→左心室→全身へと送り出されます。左心房は、肺静脈から送られてきた酸素濃度の高い血液を、左心室に送り出す役割をしております。

心房細動とは、どういう病気?

心臓は1分間に60~100回くらいの割合で、規則正しいリズムを刻んでおり、これを洞調律といいます。これが余計な刺激などで乱れた状態を不整脈といい、そのなかでも一番多いのが「心房細動」です。原因の多くは加齢で、70歳以上の5~10%の方が心房細動だといわれています。心房が1分間に300~600回もふるえるため、結果として脈がてんでバラバラになり、不自然に脈が速くなることが多いです。

心房細動イラスト

心房細動の症状

脈をとるイメージ

心房細動の診断のきっかけになる症状としては、「最近、息切れ、動悸がひどくなった」「突然脈が速くなり、脈がバラバラになり、しばらくすると落ち着く」が多いです。その他にも「脈がとぶ」、「意識が遠のきそうになる」、「目の前が真っ暗になる」、「完全に意識を失う」といった症状で診断に至ることもあります。自覚症状がなく、「血圧を測定していたら、ある日から脈拍が速くなった」、「血圧計で毎回、不整脈アラートがでる」ことで気が付くこともあります。最近は、スマートウォッチで不整脈、心房細動の表示が出て診断に至ることもあります。約70%の方は無症状で、健康診断などで発見されます。

症状

  • 突然脈が速くなり、脈がバラバラになり、しばらくすると落ち着く
  • 脈がとぶ
  • 意識が遠のきそうになる
  • 目の前が真っ暗になる
  • 完全に意識を失う

→発作性心房細動のことが多いです。

  • 最近、息切れ、動悸がひどくなった
  • 血圧を測定していたら、ある日から脈拍が速くなった
  • 血圧計で毎回、不整脈アラートがでる

→持続性心房細動のことが多いです。

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心房細動の脈

脈をとるイメージ

通常、手首で脈をとってみると「トン・トン・トン・トン」と規則正しいですが、「ト・トン・・ト・ト・トン・ト・トン」などばらばらな脈になっていると心房細動のことがあります。ちなみに「ト・トン・トン・トン」と一拍脈が抜けた感じになるのは心配いらないことが多いです。

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心房細動の原因

心房細動は加齢によって発症リスクが増加することから、誰にでも起こりうる病気です。しかし、高血圧・弁膜症・狭心症・心不全・心筋梗塞などの心臓に関連した病気や睡眠時無呼吸症候群・肥満・糖尿病・飲酒や喫煙の習慣のある方は、心房細動の発症リスクが高くなります。

極度の脱水、甲状腺機能亢進症、心臓周囲の炎症(心臓や肺の手術直後、心筋梗塞直後)といった可逆性の要因がある場合、その要因を取り除くことで心房細動は起こらなくなります。例えば、長時間サウナに入った後にだけ心房細動が起こった方は、サウナに入る際は脱水に気をつけ、水分補給をする、長時間入らないようにすることで心房細動は起こらなくなります。

重症の弁膜症が原因の心房細動の方は、弁膜症に対する外科的な手術が必要になる場合があります。

加齢など不可逆性の要因で心房細動になっており、繰り返している場合、自然と心房細動が治ることはないとされております。

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心房細動になって困ること

直ちに命を奪う病気ではありませんが、いろいろな病気の原因になるため何らかの治療をしたほうが良いと考えられています。心房細動が原因になる主な病気をあげてみましょう。

脳梗塞

血液がよどみやすくなるため、血栓ができやすくなり危険度が約5倍に増加します。

心不全

脈が不自然に速くなるため心臓が疲れてしまい、危険度が約3倍に増加します。

認知症

小さな血栓が頭に詰まるため約2倍の危険度になるといわれております。

動悸・失神

動悸や意識消失の原因となることもあります。

※上記に記載のある数値的データは日本不整脈心電学会参照しております。http://new.jhrs.or.jp

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心房細動の分類

心房細動は発症後の発作の持続期間によって以下の3つに分類されます。

分類図

発作性心房細動、持続性心房細動(心房細動がとまる状態)から長期持続性心房細動(心房細動がずっと持続する状態)へ年間5.5%の確率で進行します。抗不整脈薬(心房細動を起こりづらくする薬)は根治療法とはならないため、進行を止めることは難しいとされます。

※上記に記載のある数値的データは右記を参照しております。Kato T et al: Circ J. 2004: 68: 568-72

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心房細動の診断・検査

12誘導心電図

12誘導心電図でf波といわれる心房がふるえていることを表す波がみられれば心房細動の診断となります。
f波が大きく、しっかりみえる場合、心房筋がしっかりあるということになり、心房細動は治る可能性があります。
それに対し、f波がほとんど見えない場合、心房筋は、1分間に300~600回ふるえた結果、傷んでしまっており線維化がひどく、治る可能性の低い心房細動となります。

正常な脈
治りやすい心房細動
治りづらい心房細動

24時間ホルター心電図

24時間ホルター心電図

24時間心電図をとることで心房細動を診断します。脈が速すぎないか、遅すぎないか、心房細動以外に治療が必要な不整脈がないかなどを調べます。

1週間の心電図検査

1週間の心電図検査

動悸の頻度が少ない場合、1週間の心電図検査で心房細動の診断に至ることもあります。1週間と検査期間は長いですが、お風呂にも入れますし仕事や運動もできますので日常生活を送ることができます。1日のホルター心電図に比べ3倍の確率で診断できます。皮膚かぶれが起こらないように皮膚にやさしい電極を用いるなど、かぶれ対策もしております。

携帯型心電計、スマートウォッチ

スマートウォッチ

1週間の心電図検査でも発作が捉えられない場合、ご自身で購入していただかなければなりませんが、携帯型心電計、心電図のとれるスマートウォッチで診断に至ることもあります。

心臓超音波( 心エコー) 検査

心臓超音波

心臓の形や大きさ、また、血液を正常に送り出すのに重要な心房-心室間にある弁 の機能を調べるための検査です。左心房の拡大、左心室の肥大、中等症以上の弁膜症がある場合、心房細動アブレーションの成功率に影響するため詳細に調べます。

治療方法

抗凝固療法

心房細動で困るのは脳梗塞です。脳梗塞を予防するため、血液を固まりづらくする抗凝固薬の内服が必要です。65歳以上・高血圧・糖尿病・脳梗塞・心不全・心筋症のいずれかをお持ちの方は脳梗塞の危険性が高いです。心房細動自体の治療は薬による治療とカテーテルアブレーションによる治療とに分けられます。

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薬による心房細動治療

発作性心房細動の場合

発作の頻度が少ない方は、抗凝固薬(血を固まりづらくする薬)や抗不整脈薬(心房細動を起こりずらくする薬)でしばらく経過をみることも可能です。発作を3分の1程度に減らせますが、完全にはなくなりません。心房細動と付き合っていく治療になります。また、副作用も問題になります。

発作頻度は最初少ないですが、徐々に発作頻度が増えてきて、持続性心房細動になることが多いです。持続性心房細動になると根治率が下がってしまうため、持続性心房細動に進行する前にカテーテルアブレーションにより根治されることをお勧めいたします。

持続性心房細動および長期持続性心房細動の場合

薬

レートコントロールといって脈拍数を下げ、抗凝固薬(血を固まりづらくする薬)を内服し経過をみることは可能です。心房細動と付き合っていく治療になります。

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カテーテルアブレーションによる治療

心房細動の根治を目指す方法です。

アブレーションを受けるメリット

約70%の方が無症状という心房細動ですが、その後に起こるかもしれない脳梗塞、心不全、認知症が大きな問題となります。アブレーション手術を受けることにより、この発症率が心房細動のない人と同程度になることが大きなメリットとなります。

また、術後は心臓の負担がへるため、「息切れがなくなった」とか「今までより動けるようになった」という声を多くいただいております。持続性心房細動の方も脳梗塞発症率が抗凝固薬を内服しているより約半分になります。約70%の方は心房細動のため内服していた薬をやめることができます。

メリット01

脳梗塞・心不全・認知症の発症率が心房細動のない人と同程度になります

メリット02

脳梗塞発症率が抗凝固薬を内服しているより約半分になります

メリット03

約70%の方は心房細動のために内服していた薬をやめることが可能です

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術前検査

左心房の左心耳という場所に血栓ができる可能性のある不整脈ですので、血栓がないことを造影CTや経食道心エコー検査(胃カメラみたいな検査)で確認します。経食道心エコー検査は脳梗塞の危険性が高い患者さん、腎臓が悪く造影剤が投与できない患者さんに行います。心エコー検査で心臓の大きさや動きも確認します。全身麻酔で行うため呼吸機能検査なども行います。心房細動患者さんの半数以上の方が睡眠時無呼吸症候群といわれていてます。睡眠時無呼吸症候群を放っておくとアブレーション後の再発が多いため、術前に睡眠時無呼吸症候群簡易検査を行います。

エコー写真
睡眠時無呼吸症候群簡易検査

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手術方法など

心房細動は、心臓の左心房という部屋に入ってくる4本の肺静脈という血管から余計な刺激が発生することで起こります。カテーテルアブレーションは、左心房と肺静脈の間に電気を流しやけどを作ることで、肺静脈から発生する刺激を心房に伝わらなくする治療(肺静脈隔離)です。怖い話に聞こえるかもしれませんが心臓の一部にやけどを作り、心房細動を根治する手術療法なのです。

手術方法1

全身麻酔で行うため、まず薬で眠っていただき気道確保いたします。注意事項としては、グラグラの歯(進行した歯槽膿漏)がある方は、器具挿入時に器具と歯が接触する可能性があるため、歯がとれる、もしくはかけてしまう危険性があるため術前に治療しておいてください。

右大腿静脈(右足付け根)から3本、治療用の管を入れます。右内頸静脈(首の右側)に1本、右橈骨動脈(右手首)に血圧をモニターするための細い管を入れることもあります。右心房から左心房に針を刺して穴をあけ、左心房に治療用のカテーテルを入れます。あけた穴はほとんどが自然に閉じます。

1回の通電で4mm程度のやけどを呼吸や心拍で動いている心臓に隙間なく作っていかなければならないため、とても高度な技術が必要となります。当院では肺静脈以外の好発部位である左心房後壁、上大静脈にもアブレーション治療を行います。

手術方法2

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成功率を高める3つのポイント

術中の
全身麻酔
心房細動アブレーションの術中に、痛みや不安で呼吸が不安定になると治療精度が落ちてしまいます。当院では全身麻酔で手術を行うことで、患者さんの呼吸が乱れることがありません。患者さんの術中の苦痛を排除するだけでなく、治療精度・成功率を向上させます。
上大静脈
隔離
心房細動アブレーションの基本は肺静脈隔離です。我々は、肺静脈隔離の他に、心房細動の好発部位である上大静脈、左心房後壁にも治療を行います。そうすることで再発リスクを軽減することができます。
テーラー
メイド治療
肺静脈隔離、上大静脈隔離、左心房後壁隔離で治る患者さんが多いですが、なかにはそこまで行っても治らなさそうな方もいます。そのような方には、心房筋の傷み具合や左心房の大きさ、心房細動持続期間などを加味したテーラーメイドの治療を行っております。できるだけ1回の治療で治すために努力は惜しみません。
全身麻酔の優位性
(p<0.001)

全身麻酔の優位性

全身麻酔を行ってアブレーションしたグループと意識下鎮静でアブレーションを行ったグループを比べたところ、アブレーション成功率が全身麻酔グループで高く、手術時間も全身麻酔グループで短かった。
DiBiaseLetal.HeartRhythm.2011;8:368-72.

上大静脈隔離の優位性(p=0.035)

上大静脈隔離の優位性

肺静脈隔離に必要に応じて上大静脈隔離をするグループと肺静脈隔離に全例で上大静脈隔離を追加するグループを比べたところ、全例で上大静脈隔離を追加したグループがアブレーション成功率が高かった。
EjimaKetal.AmJCardiol.2015;116:1711-6.

左心房後壁隔離の優位性(p=0.02)

左心房後壁隔離の優位性

肺静脈隔離に左心房後壁隔離を追加したグループと肺静脈隔離のみを行ったグループを比べた結果、左心房後壁隔離を行ったグループで成功率が高かった。
KimJSetal.IntJCardiol.2015;181:277-83.

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心房細動カテーテルアブレーションの手術時間

約60分

発作性心房細動、持続性心房細動で肺静脈隔離、左心房後壁隔離、上大静脈隔離を行った場合、約60分です。左心房が拡大している方、追加治療が必要な方は約90分になります。全身麻酔なので、寝て起きたら手術は終わっております。

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入院期間および術後の安静

入院期間は発作性心房細動では3泊4日、持続性心房細動では4泊5日です。術直後はやけどによる炎症のため心房細動がでやすい状態となります。術後1週間は車の運転も避けてください。術後2週間は運動など体に負担のかかることは避けてください。退院翌日よりデスクワークは可能、術後2週間で肉体労働も可能となります。

※患者さんの容態・経過により異なる場合がございます。

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心房細動カテーテルアブレーションに伴う痛みに関して

痛みを伴う治療のため、幕張不整脈クリニックでは全身麻酔で行っております。全身麻酔で行うことで呼吸が安定し、アブレーションの成功率も上がります。術後、安静が必要なため腰痛が起こることがあります。穿刺部を縫合し、翌朝抜糸するため安静時間も短くてすみます。さらに、点滴の痛み止め、眠くなる薬を使うことで痛みを和らげます。手術開始で全身麻酔導入し、起きたらベッド上で動ける状態にすることで腰痛の軽減にも繋がります。1日ベッドの上で過ごさなくてはならないため腰痛が出ないとは限りません。翌朝、腰痛があれば希望者には無料で鍼治療を行います。遠慮なく申し出てください。尿道バルーンも全身麻酔導入後に挿入しますので、尿道バルーン挿入時の違和感・羞恥心・痛みを気にされる患者さんも治療を受けやすい体制を整えております。男性は術直後に尿道バルーンを抜くため、術後の尿道バルーンの違和感や痛みをできる限り感じずに治療が受けられるような体制にしております。

アブレーションに伴う痛みに関して

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心房細動カテーテルアブレーションの合併症に関して

合併症に関して

心房細動アブレーションの合併症として、心臓の外に血液が漏れ出てしまい血圧が下がる心タンポナーデがあります。これは1%以下の確率で起こるといわれており、万が一の場合は迅速に血液を吸引するなどの処置を行います。左心房は食道と接しているため、食道に関連した合併症があります。食道温を測定する、胃薬を内服することで予防できます。胸やけがする、おなかが張るなどの症状がでることがありますが、万が一症状がでても時間の経過とともに改善します。脳梗塞及び一過性脳虚血発作(TIA)が0.5%以下の確率で起こるといわれております。また、カテーテルを右足の付け根から入れ、そこを止血するために青あざができますが1ヶ月程度で自然に吸収されます。その他、1%以下のまれな合併症があります。

※不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)

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心房細動に効果のあるツボ指圧指導・鍼治療

近年、心房細動の抑制にツボ刺激が効果的だという報告があいついででてきております。入院中にツボ指圧指導を行います。希望者には鍼治療も行っております。

詳しくはこちら

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心房細動カテーテルアブレーションの費用に関して

高額医療の申請を行えば、最終的に10万円程度の自己負担となる方が多いです。収入の多い方で23万円になります。そこに私費がかかります。大部屋希望であれば私費は5000円程度です。

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術後の確認

術後2ヶ月はやけどによる炎症で心房細動がでやすい状態ですが、その多くは時間の経過とともにでなくなります。心房細動がでやすいこの期間は抗不整脈薬(心房細動を抑える薬)を内服します。術後2ヶ月の時点で心房細動だった場合、薬で眠っていただき電気ショックをかけ洞調律(規則正しい脈)に戻します。術後3ヶ月を過ぎても心房細動がでる場合に再発と考え、2回目の治療を検討します。しかし、もともと無症状の方もいるため再発を見落としてしまうことがあります。1日だけホルター心電図をつけて調べている病院もありますが、幕張不整脈クリニックでは1週間の心電図検査を定期的に行い、症状のない心房細動までもでなくなったか見落としをしないように徹底的に調べています。

1週間と検査期間は長いですが、外来で行え、お風呂にも入れますし運動もできますので日常生活を送ることができます。長時間心電図の機器は郵送でも返却可能です。検査期間以外に動悸が起こることもあります。幕張不整脈クリニックでは「心電図ホームモニタリング」を行っております。これは、小型の装置と携帯のアプリケーションで、心電図を自宅測定、クリニックへ報告いただける無料のサービスです。スマートウォッチでとった心電図をLINEで送っていただくこともできます。測定結果を当院で判読し適切な対処法をお伝えすることで、アブレーション後の患者さんの動悸に対する不安の軽減に役立ちます。少しでも患者さんの不安・負担の軽減に繋がっていただければと思っております。入院中に設定方法、操作方法等をご説明いたします。

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心房細動カテーテルアブレーションの成功率

発作性心房細動の成功率

幕張不整脈クリニックでは全身麻酔で行うことでカテーテルを安定させ、さらに肺静脈隔離に加え、心房細動の好発部位である上大静脈、左心房後壁にも治療を行っております。1回の治療で90%の方が成功しています。成功率とはアブレーション後、定期的に1週間の心電図検査を行い、1年以内に心房細動が認められない確率です。

持続性心房細動、長期持続性心房細動の成功率(持続期間1年以上、5年未満)

幕張不整脈クリニックでは肺静脈隔離に加え、心房細動の好発部位である上大静脈、左心房後壁にも治療を行っております。それでも治らなそうな方には追加の治療を行うなど、治療の精度を上げるための様々な工夫を行っております。できるだけ1回の治療で治すため、患者さんの心臓の傷み具合、心臓の大きさに応じたテーラーメイドの治療を行っております。

1回の治療で80-90%の方が成功しています。これは数年苦しんだ心房細動が、1週間を通して心電図検査をしても全くでなくなるということです。

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心房細動カテーテルアブレーションの適応

認知症がなければ、年齢制限はしておりません。
他院でアブレーションを断られた、もしくはアブレーションしたが治らなかった方もご相談ください。

発作性心房細動、持続性心房細動
(持続期間1年以内)の方
ほとんどの方が2回以内の治療で治ります。
長期持続性心房細動の方
持続期間5年未満だと治りやすいですが、
それ以上になると治りづらくなります。
持続期間が長い方(5年以上)
一般的には治りづらいというデータもあり、アブレーションを行わない病院もあります。当院では、一定の条件を満たせば治療が治療が可能であり、2回の治療で60%〜70%程度の確率の根治を目指します。
左心房が大きい方(左房55mm以上)
一般的には治りづらいというデータもあり、アブレーションを行わない病院もあります。当院では、一定の条件を満たせば治療が可能であり、2回の治療で80%〜90%程度の確率の根治を目指します。

※濵義之. 2018年アブレーション関連秋季大会

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バルーンテクノロジーに関する私見

クライオバルーン、ホットバルーン、レーザーバルーンといったバルーンテクノロジーが使えるようになり、「幕張不整脈クリニックでは使用しないのか。」という質問を多くいただきます。
バルーンテクノロジーのメリットは、難易度の高い高周波アブレーションによる肺静脈隔離をだれが行っても中等度の成績(発作性心房細動で80%程度)を残すことができることです。手技時間もなれてくれば1時間程度で済みます。一日に治療できる件数が増えるため、初回治療はバルーンで行い、再発したら高周波アブレーションで行う病院が増えてきております。
デメリットとして、肺静脈隔離しかできないため上大静脈隔離や左心房後壁隔離など、追加治療を行えないことがあげられます。肺静脈隔離以外の治療が必要な方を、術前に正確に予測することができないため、どうしても成功率が下がってしまいます。私たちは、痛みをわからなくして、できるだけ一回のアブレーションで治したいため、バルーンテクノロジーは使用しない方針です。

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心房細動カテーテルアブレーション後の経過

※患者さんの容態・経過により異なる場合がございます。

1

外来
採血・造影CT・心エコー・ホルター心電図 + 睡眠時無呼吸症候群簡易検査

2

1日目

13:30入院

  • 院内のご案内
  • 入院に関するご案内
  • アブレーション(手術)に関するご案内

3

2日目 9:00開始の場合

09:00手術開始

  • 全身麻酔導入→心房中隔穿刺→肺静脈隔離、左心房後壁隔離、上大静脈隔離
  • ※患者さん毎に必要であれば追加治療

10:30止血・麻酔から目覚めます

11:00術後4時間安静

  • 薬で眠っていただきます

15:30ベッド上で動けます

4

3日目

抜糸・止血確認後、歩行可能です

午前

  • 検脈指導
  • 持続性心房細動で希望者に心房細動に効果のある鍼治療
  • 腰痛のある方へは鍼治療
  • 心房細動に効果のあるツボ指圧指導
  • 心電図ホームモニタリング設定・送信指導

午後

  • 検脈指導
  • 心房細動に効果のあるツボ指圧指導
  • 心電図ホームモニタリング送信指導

21時頃

  • 必要な方 睡眠時無呼吸症候群精密検査

5

4日目

【発作性心房細動で入院の方】この日に退院【持続性心房細動で入院の方】

午前

  • 検脈指導
  • 心房細動に効果のあるツボ指圧指導
  • 心電図ホームモニタリング送信指導

午後

  • 検脈指導
  • 心房細動に効果のあるツボ指圧指導
  • 心電図ホームモニタリング送信指導

6

5日目

10:30【持続性心房細動で入院の方】退院

2ヶ月間は一過性の心房細動がでやすくなりますが、アブレーション治療によるやけどの炎症のせいなので経過とともに改善していきます。必要に応じて抗不整脈薬(心房細動を起こりづらくする薬)の内服

7

1ヶ月後

再診/睡眠時無呼吸症候群の方は治療(CPAP)開始

8

3ヶ月後

1週間の心電図検査・心エコー検査

9

6ヶ月後

1週間の心電図検査
再発がなく、脳梗塞の危険性が少ない方は抗凝固薬中止

10

1年後

24時間ホルター心電図・もしくは1週間の心電図検査・心エコー検査

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カテーテルアブレーション後の新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)

カテーテルアブレーションを行い、手術で免疫力が落ちて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかるのではないかという不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。それに関する論文がアメリカから発表されましたのでご紹介いたします。

アメリカでコロナが流行している2020年3月から5月までの間にカテーテルアブレーションを受けた124人を調査したところ、術後2週間で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したもしくは感染が疑われた人はいませんでした。

当院においても、2020年5月から2021年4月までに512人にカテーテルアブレーションを行いましたが、術後2週間以内に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した方はいませんでした。当院では術前にPCR検査を受けていただき、陰性の方のみ入院いただいております。

(Workman V et al. Heart Rhythm 2020 Oct;1(4):239-242.)

当院を受診される方の感染対策について

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心房細動の治療法 ツボ

近年、心房細動の抑制にツボが効果的だという報告があいついてでてきております。ツボ刺激の最大のメリットはいつでも手軽に行える点にあります。簡単でありながら、自律神経のバランスを整えることで心臓の興奮を抑えてくれる効果があります。

中国からの報告では、発作性心房細動患者さん80人をツボ刺激グループ40人、アミオダロン注射薬(一番強い心房細動を治す薬)グループ40人にわけて心房細動に対するツボとアミオダロンの効果を比較しています。その結果、ツボ刺激群で心房細動が洞調律(普通の脈)に戻った割合が高く、(ツボ刺激群85.0% vs. アミオダロン群67.5%)さらに治療開始から洞調律に戻る時間も短かったのです(ツボ刺激群39.6 ± 13.7分 vs. アミオダロン群50.1 ± 14.8分)。また、イタリアのミラノ大学からの報告では、持続性心房細動患者さんの電気的除細動(電気ショック)後、再発防止のためのツボ刺激の効果をアミオダロン内服(一番強い心房細動を治す薬)と比較しております。その結果、ツボ刺激群とアミオダロン内服で同等の効果があったのです。

持続性心房細動アブレーション後の早期再発抑制にツボ刺激が有効という論文も発表されました。アブレーション後、アミオダロン内服に加えツボ刺激を行った群40人とアミオダロン内服のみの群45人を比べたところツボ刺激を加えた群で早期再発が少なかったのです(ツボ刺激追加群12.5% vs. アミオダロン群33.3%)。この論文ではアブレーション後の炎症反応も比較検討しております。ツボ刺激は、アブレーション後の炎症反応(CRP,IL-6,TNF-α,TGF-β,MMP2)を抑えることで早期再発を抑制していると結論づけております。 上記の論文は、ツボ刺激を鍼治療で行っておりますが、指圧による効果の報告もあります。 心房細動患者さんにツボ刺激を指圧で行う群30人と行わない群30人に分け、血圧、脈拍数の変化を観察したところ、ツボ刺激を指圧で行った群で脈拍数、血圧が有意に下がりました。

心房細動に効果があるとされたツボは次の2つです。

内関
  • 腕の内側にある2本ある縦の筋肉の間で、手首の一番太いシワからひじに向けて指3本分の場所親指で5秒間押す
  • 左右10回行う
神門
  • 手首の横ジワ上で、小指側にあるくぼみ親指で5秒間押す
  • 左右10回行う
  • J Cardiovasc Electrophysiol 2011;22:241-7
  • Zhongguo Zhen Jiu 2007;27:96-8.
  • J Cardiovasc Electrophysiol. 2019 ;6:910-917.
  • Altern Ther Health Med. 2019;1:12-19

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