再発しても自覚症状がないことがある心房細動。当院では、再発を見逃さないために徹底したモニタリングで再発の有無を厳しくチェックします。また、ご自宅での患者さんの体の変化にも迅速に対応いたします。
全身麻酔を行ってアブレーションしたグループと意識下鎮静でアブレーションを行ったグループを比べたところ、アブレーション成功率が全身麻酔グループで高く、手術時間も全身麻酔グループで短かった。
DiBiaseLetal.HeartRhythm.2011;8:368-72.
肺静脈隔離に必要に応じて上大静脈隔離をするグループと肺静脈隔離に全例で上大静脈隔離を追加するグループを比べたところ、全例で上大静脈隔離を追加したグループがアブレーション成功率が高かった。
EjimaKetal.AmJCardiol.2015;116:1711-6.
肺静脈隔離に左心房後壁隔離を追加したグループと肺静脈隔離のみを行ったグループを比べた結果、左心房後壁隔離を行ったグループで成功率が高かった。
KimJSetal.IntJCardiol.2015;181:277-83.
再発しても自覚症状がないことがある心房細動。当院では、再発を見逃さないために徹底したモニタリングで再発の有無を厳しくチェックします。また、ご自宅での患者さんの体の変化にも迅速に対応いたします。
アブレーション手術後の確認検査として、一般的には24時間のホルター心電図検査が行われています。しかし、24時間以内に再発がみつからないことが多いこともあります。当院では1週間の心電図検査を定期的に行うことで、症状のない心房細動もでなくなったか見落としをしないように徹底的に調べています。1週間と検査期間は長いですが、お風呂にも入れますし運動もできますので日常生活を送ることができます。皮膚かぶれが起こらないように皮膚にやさしい電極を用いるなど、かぶれ対策もしております。
心電図のホームモニタリングとは、小型の装置と携帯のアプリケーションで、心電図を自宅測定しクリニックへご報告いただける無料のサービスです。測定結果を当院で判読し、患者さんの状況を確認、適切な対処法をお伝えすることで、アブレーション後の動悸に対する不安を減らすことに繋がります。また、抗凝固薬を止めやすくなり、金銭的な負担・出血のリスクを軽減させることにも繋がります。術後の生活は不安なものですが、このシステムを利用することで不安の軽減に繋がればと考えております。
AppleWatchによる心電図ホームモニタリング
心電図をAppleWatchで自宅測定しクリニックへご報告いただける無料のサービスです。
測定結果を当院で判読し、患者さんの状況を確認、適切な対処法をメールもしくは電話でお伝えすることで、アブレーション後の動悸に対する不安を減らすことに繋がります。
当院でアブレーションを行った方全員に、検査データファイルをプレゼントいたします。アブレーションに関連して行った検査所見、アブレーションの内容、術後の検査データなどをいれるのにお使いください。夜間、休日の問い合わせ電話番号、携帯型心電計お問い合わせ先なども記してあります。
心房細動の患者さんは高齢の方が多く、心房細動以外の病気をお持ちの方が多いです。手術前に心臓のCTをとりますのでその際、肺やお腹も一緒に撮影し、当院からのサービスとして放射線科医に読影依頼を出し、肺がんなど他の病気が隠れていないかチェックしております。約1%の確率でがんがみつかります。CTのレポートは検査データファイルにいれお渡しいたします。心房細動を治すだけでなく、患者さんの健康を第一に考えております。下記PDFのような所見用紙をお渡しいたします。
術後は、長時間心電図検査(1週間の心電図検査や24時間ホルター心電図)を3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に行い再発の有無を確認いたします。装着は来ていただきますが、返却は郵送にも対応しております。
アブレーション後、再発がないことを確認した後、多くの方が抗凝固薬をやめることができます。しかし、心房細動は加齢に伴う病気であり、治ったようにみえても時間が経ち再発することがあります。抗凝固薬をやめた後、心房細動の再発に気が付かず、脳梗塞を起こしてしまうというのが最悪のシナリオです。そうならないために重要なのが検脈です。アブレーション翌日より1日2回、スタッフによる検脈指導を行います。退院後、朝晩および動悸を感じたときに検脈をしていただき、1時間以上脈が乱れていたら、携帯型心電計で心電図をとり、送信していただき、スタッフが判読、適切な指示をだすというのが当院の術後のフォロー方法になります。
近年、心房細動の抑制にツボ刺激が効果的だという報告があいついででてきております。ツボ刺激の最大のメリットはいつでも手軽に行える点にあります。簡単でありながら、自律神経のバランスを整えることで心臓の興奮を抑えてくれる効果があります。アブレーションによる炎症反応を抑えることで再発を減らす効果もあると報告されております。当院ではアブレーション後、1日2回心房細動に効果のあるツボ指圧指導を行っております。持続性心房細動患者さんで鍼治療を希望される方には、入院中のみ鍼治療もサービスとして行っております。
心房細動に効果のあるツボ刺激に関する主な報告は以下になります。
中国からの報告では、発作性心房細動患者さん80人をツボ刺激グループ40人、アミオダロン注射薬(一番強い心房細動を治す薬)グループ40人にわけて心房細動に対するツボとアミオダロンの効果を比較しています。その結果、ツボ刺激群で心房細動が洞調律(普通の脈)に戻った割合が高く、(ツボ刺激群85.0% vs. アミオダロン群67.5%)さらに治療開始から洞調律に戻る時間も短かったのです(ツボ刺激群39.6 ± 13.7分 vs. アミオダロン群50.1 ± 14.8分)。
また、イタリアのミラノ大学からの報告では、持続性心房細動患者さんの電気的除細動(電気ショック)後、再発防止のためのツボ刺激の効果をアミオダロン内服(一番強い心房細動を治す薬)と比較しております。その結果、ツボ刺激群とアミオダロン内服で同等の効果があったのです。
持続性心房細動アブレーション後の早期再発抑制にツボ刺激が有効という論文も発表されました。アブレーション後、アミオダロン内服に加えツボ刺激を行った群40人とアミオダロン内服のみの群45人を比べたところツボ刺激を加えた群で早期再発が少なかったのです(ツボ刺激追加群12.5% vs. アミオダロン群33.3%)。この論文ではアブレーション後の炎症反応も比較検討しております。ツボ刺激は、アブレーション後の炎症反応(CRP,IL-6,TNF-α,TGF-β,MMP2)を抑えることで早期再発を抑制していると結論づけております。
上記の論文は、ツボ刺激を鍼治療で行っておりますが、指圧による効果の報告もあります。
心房細動患者さんにツボ刺激を指圧で行う群30人と行わない群30人に分け、血圧、脈拍数の変化を観察したところ、ツボ刺激を指圧で行った群で脈拍数、血圧が有意に下がりました。
当院のアブレーションでは術後安静は4時間です。翌朝、腰痛があれば希望者には無料で鍼治療を行います。遠慮なく申し出てください。
心房細動患者さんの約70%が睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。SASを放っておくと心不全、脳梗塞、心筋梗塞の危険性が高まり、アブレーション後の再発も多くなってしまいます。術前にSAS簡易検査を行います。必要があれば、入院中にSAS精密検査(ポリソムノグラフィー)を行います。退院後、必要があればCPAPというSASの治療を開始いたします。CPAPを行うことでSAS患者さんもSASのない患者さんと同程度の成功率になります。
患者様の満足度
2020年5月から2024年9月までにカテーテルアブレーション目的で入院された2541人中2061人(81%)の方にご協力いただきました。10点満点で評価をしていただき平均9.8点となりました。患者様のご要望にできるだけお応えし、少しでも入院生活を快適にお過ごしいただけるようスタッフ全員で取り組んでおります。その結果、カテーテルアブレーションに対する悩み、不安を少しでも和らげられればと考えております。
10点 | 1741人 |
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9点 | 199人 |
8点 | 105人 |
7点以下 | 16人 |