不整脈・心房細動コラム

心房細動 アブレーション 再発率 2020-2022年実績

当院の心房細動カテーテルアブレーション1年後の再発率

開院した2020年5月から2023年12月までに当院では、2090件(2023年620件 主に心房細動)のカテーテルアブレーションを術者一人で行いました。そのうち2020年5月から2022年7月までに全身麻酔下に心房細動カテーテルアブレーション(基本は肺静脈隔離、左心房後壁隔離、上大静脈隔離)を受けられた方の再発率を病態ごとにお示しいたします。当院では肺静脈以外の好発部位である左心房後壁、上大静脈も1回目から念のため治療しております。2回目の治療は、患者さんごとに異なります。詳細はこちら

術後の確認として当院では、術後3ヶ月後、6ヶ月後に1週間の心電図検査を行い、1年後に24時間ホルター心電図を行っております。さらに、オムロンの心電計もしくはAPPLE WATCHの購入をお勧めしており、購入された方には心電図ホームモニタリングで厳格なフォローを行っております。オムロン心電計は、割引価格で購入できる体制にしております。

携帯型心電計の普及により再発率は徐々に高くなってきております。再発リスクが高い方には、抗不整脈薬を投与しております。

発作性心房細動カテーテルアブレーションの再発率

2020年5月から2022年7月までに472名の患者さんに1回目のカテーテルアブレーションを行い、1年後に再発が認められたのは、49名(10.4%)でした。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後の再発は9名(1.9%)でした。

厳格なフォローをしておりますが、捉えられていない発作性心房細動がある可能性はあります。

当院のカテーテルアブレーション合併症発生率

持続性心房細動カテーテルアブレーションの再発率(持続期間1年未満 左心房径50mm未満)

2020年5月から2022年7月までに209名の患者さんに1回目のカテーテルアブレーションを行い、1年後に再発が認められたのは、29名(13.9%)でした。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後の再発は13名(6.2)でした。発作性心房細動での再発(たまに心房細動がおこる状態)が8名(3.8%)、持続性心房細動での再発(寝ても覚めても心房細動の状態)が5名(2.4%)でした。

厳格なフォローをしておりますが、捉えられていない発作性心房細動がある可能性はあります。ただ、持続性心房細動での再発は必ず捉えられます。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後、再発リスクの高い方には薬物療法も行い、

204名(97.6%)の方が、心房細動が続く状態から「全く出なくなった」もしくは、「たまに心房細動の状態になった」ということです

持続性心房細動より発作性心房細動のほうが脳梗塞などのリスクが低くなります。

長期持続性心房細動カテーテルアブレーションの再発率(持続期間1年以上5年未満)

2020年5月から2022年7月までに74名の患者さんに1回目のカテーテルアブレーションを行い、1年後に再発が認められたのは、25名(33.8%)でした。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後の再発は5名(6.8)でした。発作性心房細動での再発(たまに心房細動がおこる状態)が3名(4.1%)、持続性心房細動での再発(寝ても覚めても心房細動の状態)が2名(2.7%)でした。

厳格なフォローをしておりますが、捉えられていない発作性心房細動がある可能性はあります。ただ、持続性心房細動での再発は必ず捉えられます。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後、再発リスクの高い方には薬物療法も行い、

72名(97.3%)の方が、心房細動が続く状態から「全く出なくなった」もしくは、「たまに心房細動の状態になった」ということです。

持続性心房細動より発作性心房細動のほうが脳梗塞などのリスクが低くなります。

長期持続性心房細動カテーテルアブレーションの再発率(持続期間5年以上)

2020年5月から2022年7月までに33名の患者さんに1回目のカテーテルアブレーションを行い、1年後に再発が認められたのは、15名(45.5%)でした。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後の再発は9名(27.2%)でした。発作性心房細動での再発(たまに心房細動がおこる状態)が2名(6.1%)、持続性心房細動での再発(寝ても覚めても心房細動の状態)が7名(21.2%)でした。

厳格なフォローをしておりますが、捉えられていない発作性心房細動がある可能性はあります。ただ、持続性心房細動での再発は必ず捉えられます。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後、再発リスクの高い方には薬物療法も行い、

26名(78.8%)の方が、心房細動が続く状態から「全く出なくなった」もしくは、「たまに心房細動の状態になった」ということです

持続性心房細動より発作性心房細動のほうが脳梗塞などのリスクが低くなります。

左心房拡大(50mm以上)を認める持続性および長期持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションの再発率

2020年5月から2022年7月までに35名の患者さんに1回目のカテーテルアブレーションを行い、1年後に再発が認められたのは、11名(31.4%)でした。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後の再発は7名(20.0%)でした。発作性心房細動での再発(たまに心房細動がおこる状態)が0名(0%)、持続性心房細動での再発(寝ても覚めても心房細動の状態)が7名(20%)でした。

厳格なフォローをしておりますが、捉えられていない発作性心房細動がある可能性はあります。ただ、持続性心房細動での再発は必ず捉えられます。

2回以内のカテーテルアブレーション治療後、再発リスクの高い方には薬物療法も行い、

28名(80.0%)の方が、心房細動が続く状態から「全く出なくなった」もしくは、「たまに心房細動の状態になった」ということです

持続性心房細動より発作性心房細動のほうが脳梗塞などのリスクが低くなります。

上記のように左心房拡大を認める方、持続期間が長い方は再発率が高めです。

すべての心房細動を治すことはできないため治らないと判断した場合、カテーテルアブレーションをお断りすることもあります。

当院のカテーテルアブレーション合併症発生率

ページ著者・監修者 院長 濵 義之

濵 義之

主な経歴

2003年山梨医科大学卒業。循環器科の中でも不整脈を専門とし、心房細動に対するアブレーション手術を得意とする。君津中央病院循環器内科の医長・部長などを経て2020年に幕張不整脈クリニック(千葉市花見川区)を開院。5000件程度のアブレーションに携わり、年間500件以上のアブレーション手術を行う。

資格

  • 日本不整脈心電学会 不整脈専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本内科学会 認定内科医