不整脈・心房細動コラム

心房細動 アブレーション 2回目 55歳男性

他院にて発作性心房細動に対するアブレーションを行いましたが、再発してしまったため当院にて2回目のカテーテルアブレーションを行いました。

1回目カテーテルアブレーション

肺静脈隔離、上大静脈隔離を行いましたが、発作性心房細動で再発してしまいました。

2回目カテーテルアブレーション

肺静脈4本中、3本が再伝導しておりました。1回目の治療で生焼けの筋肉が残っており、その筋肉が生き返ってきて伝導が再開することが再発の原因となります。肺静脈隔離を仕上げることで治る方が多いです。しかし、肺静脈隔離をしあげ、上大静脈隔離を行い、イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)で出現した上室性期外収縮に対する通電を行ってもその後、20-30%程度の患者さんが再発してしまいます。私たちは念のため左心房後壁隔離も追加することで成功率をあげております。この患者さんも肺静脈隔離、上大静脈隔離に左心房後壁隔離を追加しました。

術後1年以上経ちますが、再発なく経過しており、抗凝固薬、抗不整脈薬も中止しております。

他院で1回目のカテーテルアブレーションを行い、2回目のカテーテルアブレーションを行った患者さんの成功率は約85%です

すべての心房細動を治すことはできないため、治らないと判断した場合、カテーテルアブレーションをお断りすることもあります。

なぜ幕張不整脈クリニックでは1回目の治療から左心房後壁隔離まで行うのか?

私たちはイソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)ですべての心房細動の原因となる上室性期外収縮を出現させ、通電により完全に消失させることは難しいと考えております。

発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション後、再発した症例に2回目の治療として

肺静脈隔離+上大静脈隔離+イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)で出現した上室性期外収縮に対する通電を行う群

肺静脈隔離+左心房後壁隔離+上大静脈隔離+イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)で出現した上室性期外収縮に対する通電を行う群

を調べ、学会発表したことがあります。結果、予防的に心房細動の好発部位である左心房後壁隔離を加えた群で2回目のカテーテルアブレーション後の再発率が低かったです。

2回目にやるならどうせなら1回目から行った方がいいのでは と思い当院では、1回目の治療から肺静脈隔離+左心房後壁隔離+上大静脈隔離を行っております。

ページ著者・監修者 院長 濵 義之

濵 義之

主な経歴

2003年山梨医科大学卒業。循環器科の中でも不整脈を専門とし、心房細動に対するアブレーション手術を得意とする。君津中央病院循環器内科の医長・部長などを経て2020年に幕張不整脈クリニック(千葉市花見川区)を開院。5000件程度のアブレーションに携わり、年間500件以上のアブレーション手術を行う。

資格

  • 日本不整脈心電学会 不整脈専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本内科学会 認定内科医