不整脈・心房細動コラム

心房細動 アブレーション 3回目 56歳男性

発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション3回目 56歳 男性

他院にて発作性心房細動に対して2回カテーテルアブレーションを行ったが再発してしまった患者さんです。

カテーテルアブレーション1回目

1回目はクライオバルーンで肺静脈隔離を行っております。残念ながら再発してしまったため2回目を行われました。

カテーテルアブレーション2回目

2回目は通常の高周波によるカテーテルアブレーションを行っております。
肺静脈隔離を行い、イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)を行い、左心房前壁起源の上室性期外収縮に対する通電を行ったようですが、再発してしまいました。

カテーテルアブレーション3回目

3回目のカテーテルアブレーションを当院にて行いました。
通常、3回目のカテーテルアブレーションだと肺静脈が再伝導していることは稀です。

この患者さんも肺静脈隔離はできておりました。

通常よりも大きい左心房後壁隔離、上大静脈隔離を行いました。心房細動を誘発してもすぐに自然停止し、イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)を行っても心房細動を起こすような上室性期外収縮はでなかったため手術を終了しております。術後2年たちますが、再発なく経過しており、抗不整脈薬、抗凝固薬も中止しております。

他院で2回以上カテーテルアブレーションを行い、3回目以上のカテーテルアブレーションを行った患者さんの成功率は約70%です

すべての心房細動を治すことはできないため、治らないと判断した場合、3回目以降のカテーテルアブレーションをお断りすることもあります。

なぜ幕張不整脈クリニックでは1回目の治療から左心房後壁隔離まで行うのか?

私たちはイソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)ですべての心房細動の原因となる上室性期外収縮を出現させ、通電により完全に消失させることは難しいと考えております。

発作性心房細動に対するカテーテルアブレーション後、再発した症例に2回目の治療として

肺静脈隔離+上大静脈隔離+イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)で出現した上室性期外収縮に対する通電を行う群

肺静脈隔離+左心房後壁隔離+上大静脈隔離+イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)で出現した上室性期外収縮に対する通電を行う群

を調べ、学会発表したことがあります。結果、予防的に心房細動の好発部位である左心房後壁隔離を加えた群で2回目のカテーテルアブレーション後の再発率が低かったです。

2回目にやるならどうせなら1回目から行った方がいいのでは と思い当院では、1回目の治療から肺静脈隔離+左心房後壁隔離+上大静脈隔離を行っております。

 

1000件連続重大合併症0 カテーテルアブレーション合併症実績

ページ著者・監修者 院長 濵 義之

濵 義之

主な経歴

2003年山梨医科大学卒業。循環器科の中でも不整脈を専門とし、心房細動に対するアブレーション手術を得意とする。君津中央病院循環器内科の医長・部長などを経て2020年に幕張不整脈クリニック(千葉市花見川区)を開院。5000件程度のアブレーションに携わり、年間500件以上のアブレーション手術を行う。

資格

  • 日本不整脈心電学会 不整脈専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本内科学会 認定内科医