不整脈・心房細動コラム

心房細動 アブレーション 3回目 57歳男性

持続期間1年以内の持続性心房細動に対するカテーテルアブレーション3回目 57歳 男性

他院にて持続期間1年以内の持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションを2回行ったが、再発してしまった患者さんです。

1回目 カテーテルアブレーション

肺静脈隔離、左心房後壁隔離、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼、左心房のCFAE(複雑電位)に対する通電、三尖弁輪下大静脈間線状焼灼を行いました。

発作性心房細動で再発してしまったため

2回目 カテーテルアブレーション

肺静脈隔離、左心房後壁隔離、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼の再伝導に対する通電を行い、イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)をしても心房細動の原因となる上室性期外収縮はでなくなったため手技を終了しております。

残念ながら発作性心房細動で再発してしまいました。しばらく薬で経過を見ておりましたが、症状がつらいとのことで当院にて3回目のカテーテルアブレーションを行うことになりました。

3回目 カテーテルアブレーション

肺静脈隔離、左心房後壁隔離、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼はできておりました。ただ、左心房後壁隔離の隔離範囲がだいぶせまかったです。左心房の下壁に自律神経節があり、同部位に対する通電が心房細動を抑制するという報告もあります。左心房下壁をだいぶ含むような大きめの左心房後壁隔離を作り直しました。上大静脈隔離も追加し、心房細動を誘発してもすぐに自然停止し、イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)を行っても心房細動を起こすような上室性期外収縮はでなかったため手術を終了しております。

術後2年たちますが、再発なく経過しており、抗不整脈薬、抗凝固薬も中止しております。

この患者さんのように左心房後壁隔離を大きく作り直すことで、治ることもあります。

ページ著者・監修者 院長 濵 義之

濵 義之

主な経歴

2003年山梨医科大学卒業。循環器科の中でも不整脈を専門とし、心房細動に対するアブレーション手術を得意とする。君津中央病院循環器内科の医長・部長などを経て2020年に幕張不整脈クリニック(千葉市花見川区)を開院。5000件程度のアブレーションに携わり、年間500件以上のアブレーション手術を行う。

資格

  • 日本不整脈心電学会 不整脈専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本内科学会 認定内科医