他院にて持続性心房細動に対するカテーテルアブレーションを3回行いましたが、再発してしまった72歳男性です。心房頻拍での再発でした。
心房細動に対するカテーテルアブレーションを複数回行うと、心房細動ではなく、ある一定の場所をぐるぐる回る心房頻拍で再発することが多いです。
他院にて3回のカテーテルアブレーションで、肺静脈隔離、左心房天蓋部線状焼灼、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼を行っておりました。
4回目のカテーテルアブレーションでしたが、肺静脈隔離は4本中1本ができておりませんでした。左心房天蓋部線状焼灼、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼もできておりませんでした。心房頻拍は、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼ができていなかったことによる僧帽弁輪を旋回する心房頻拍であることがわかりました。肺静脈隔離、左心房天蓋部線状焼灼を完成させ、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼を行いましたが、カテーテルアブレーションで完成させることはできませんでした。左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼は、完成させることが困難な患者さんがある一定数います。そのようなときに、マーシャル静脈へのエタノール注入という特殊な手技があります。心臓の外側にある細い静脈に高濃度エタノールを注入することで、アルコールで心筋にダメージを与えるという方法です。限られた施設でしかできない特殊な方法ですが、私は、100症例以上の経験があります。この患者さんは、エタノール注入により心房頻拍が停止しました。念のため大きい左心房後壁隔離、上大静脈隔離を追加しました。誘発しても心房頻拍は誘発されず、誘発された心房細動もすぐに自然停止し、イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)を行っても心房細動を起こすような上室性期外収縮はでなかったため手術を終了しております。
術後、1年以上たちますが再発なく経過しており、抗不整脈薬、抗凝固薬も中止しております。
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