近年、心房細動の抑制にツボが効果的だという報告があいついてでてきております。ツボ刺激の最大のメリットはいつでも手軽に行える点にあります。簡単でありながら、自律神経のバランスを整えることで心臓の興奮を抑えてくれる効果があります。
中国からの報告では、発作性心房細動患者さん80人をツボ刺激グループ40人、アミオダロン注射薬(一番強い心房細動を治す薬)グループ40人にわけて心房細動に対するツボとアミオダロンの効果を比較しています。その結果、ツボ刺激群で心房細動が洞調律(普通の脈)に戻った割合が高く、(ツボ刺激群85.0% vs. アミオダロン群67.5%)さらに治療開始から洞調律に戻る時間も短かったのです(ツボ刺激群39.6 ± 13.7分 vs. アミオダロン群50.1 ± 14.8分)。
また、イタリアのミラノ大学からの報告では、持続性心房細動患者さんの電気的除細動(電気ショック)後、再発防止のためのツボ刺激の効果をアミオダロン内服(一番強い心房細動を治す薬)と比較しております。その結果、ツボ刺激群とアミオダロン内服で同等の効果があったのです。
持続性心房細動アブレーション後の早期再発抑制にツボ刺激が有効という論文も発表されました。アブレーション後、アミオダロン内服に加えツボ刺激を行った群40人とアミオダロン内服のみの群45人を比べたところツボ刺激を加えた群で早期再発が少なかったのです(ツボ刺激追加群12.5% vs. アミオダロン群33.3%)。この論文ではアブレーション後の炎症反応も比較検討しております。ツボ刺激は、アブレーション後の炎症反応(CRP,IL-6,TNF-α,TGF-β,MMP2)を抑えることで早期再発を抑制していると結論づけております。
上記の論文は、ツボ刺激を鍼治療で行っておりますが、指圧による効果の報告もあります。
心房細動患者さんにツボ刺激を指圧で行う群30人と行わない群30人に分け、血圧、脈拍数の変化を観察したところ、ツボ刺激を指圧で行った群で脈拍数、血圧が有意に下がりました。
心房細動に効果があるとされたツボは次の3つです。
内関 腕の内側にある2本ある縦の筋肉の間で、手首の一番太いシワからひじに向けて指3本分の場所
親指で5秒間押す 左右10回行う
神門 手首の横ジワ上で、小指側にあるくぼみ
親指で5秒間押す 左右10回行う
膻中(だんちゅう) 左右の乳首を結んだ線の真ん中、胸骨のところ。そのあたりを人差し指で押さえてみて一番痛いと感じるところ
左右の人差し指と中指とを重ねて膻中を押さえたまま、ゆっくり息を吐きながら上半身を前にかがめていき、息を吐ききったら吸いながら上体を戻す
1回5秒 10回行う
行うタイミングは、症状が出たときと朝晩の1日2回がいいです。
(J Cardiovasc Electrophysiol 2011;22:241-7)
(Zhongguo Zhen Jiu 2007;27:96-8.)
(J Cardiovasc Electrophysiol. 2019 ;6:910-917.)
(Altern Ther Health Med. 2019;1:12-19)
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