不整脈・心房細動コラム

10年続く長期持続性心房細動 左心耳血栓 心不全 腎機能障害 

当院で経験した難治性心房細動に対するカテーテルアブレーション症例を紹介いたします

51歳男性 40歳のころに健康診断で心房細動を指摘され、2年間通院したようですが、カテーテルアブレーションはすすめられず、症状もないため通院を自己中断してしまいました。息切れを主訴に他院を受診しました。心房細動は持続しており、心機能が正常の1/2程度(EF31%)にまで低下しており、心不全の状態でした。左心耳といわれる左心房の血栓のできやすい場所に血栓もできておりました。腎機能も悪かったです。息切れの症状が強く、カテーテルアブレーション目的で当院を受診されました。

11年程度続く長期持続性心房細動ですが、左心房の拡大はそれほどでもなく、比較的若いため治る見込みがあると判断し、カテーテルアブレーションを行う方針といたしました。

まず、抗凝固薬を変更し、左心耳血栓を溶かしました。血栓がとけたことを確認後、カテーテルアブレーションを行いました。

カテーテルアブレーションとして肺静脈隔離、左心房後壁から下壁の半分程度を隔離、左下肺静脈僧帽弁輪間線状焼灼、上大静脈隔離を行いました。

術後、心機能は正常(EF77%)にまで改善し、息切れの症状もなくなりました。

術後1年以上経ちますが、再発なく経過しており、抗凝固薬、抗不整脈薬も中止しております。

年数が経っていても若くて、左心房拡大が軽度であれば治る可能性があります。

ページ著者・監修者 院長 濵 義之

濵 義之

主な経歴

2003年山梨医科大学卒業。循環器科の中でも不整脈を専門とし、心房細動に対するアブレーション手術を得意とする。君津中央病院循環器内科の医長・部長などを経て2020年に幕張不整脈クリニック(千葉市花見川区)を開院。5000件程度のアブレーションに携わり、年間500件以上のアブレーション手術を行う。

資格

  • 日本不整脈心電学会 不整脈専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本内科学会 認定内科医