他院にて肺静脈隔離、上大静脈隔離を行いましたが、再発してしまいました。
肺静脈隔離はできており、持続性心房細動で再発しておりました。上大静脈は再伝導しておりました。左心房の下壁に自律神経節があり、同部位に対する通電が心房細動を抑制するという報告もあります。左心房下壁をだいぶ含むような大きめの左心房後壁隔離を作りました。上大静脈隔離も追加し、心房細動を誘発してもすぐに自然停止し、イソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)を行っても心房細動を起こすような上室性期外収縮はでなかったため手術を終了しております。
術後1年たちますが、再発なく経過しており、抗不整脈薬、抗凝固薬も中止しております。
私たちはイソプロテレノール負荷(不整脈を誘発する薬)ですべての心房細動の原因となる上室性期外収縮を出現させ、通電により完全に消失させることは難しいと考えております。
この患者さんのように肺静脈隔離ができていても心房細動が再発してしまう患者さんは一定数おり、どの患者さんが肺静脈隔離のみでは治らないのか術前に予測することは難しいです。
できるだけ1回の治療で治したいため、当院では、1回目の治療から肺静脈隔離+左心房後壁隔離+上大静脈隔離を行っております。
他院でカテーテルアブレーションを行い再発してしまい、2回目以上のカテーテルアブレーションを幕張不整脈クリニックで行った患者さんは212名いらっしゃいます。すべての心房細動を治すことはできないため、治らないと判断した場合、カテーテルアブレーションをお断りすることもあります。
幕張不整脈クリニックでは、2020年5月から2024年12月までに2712件(2024年622件 主に心房細動)のカテーテルアブレーションを術者1人で行いました。2025年に発表された論文では、病院の手術件数が多いほど、また、術者の手術件数が多いほど手術の成功率は高くなり、合併症の発生率は低くなると報告されております。(原文)
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