カテーテルアブレーションには心タンポナーデ、脳梗塞など様々な合併症があります。日本人の心房細動カテーテルアブレーションを受けた132599人の解析では、総合併症3.4%(心タンポナーデ1.2%、脳卒中・一過性脳虚血発作1.0%、死亡0.04%など) 、29人に1人の割合で何らかの合併症が起こると報告されております。(原文)
パルスフィールドアブレーションとは従来の熱を用いたアブレーションとは違い、短時間の周期(パルス)で高電場(パルスフィールド)を発生させることで細胞膜に小さな穴をあけることにより細胞死を誘導する方法です。組織特異的な電場の閾値があるため、心臓周囲組織に影響を与えることなく、心筋特異的に焼灼をすることができます。従来の高周波カテーテルアブレーションと同等の効果で,手術時間が短縮されると報告されております。(原文)
合併症に関しても17642人の市販後調査で重大合併症1%(心タンポナーデ0.36%、脳卒中0.12%、死亡0.03%など)と100人に1人の割合の合併症発生率であり、食道関連合併症、肺静脈狭窄、横隔神経麻痺はなかったと報告されております。(原文)
パルスフィールドアブレーションならではの合併症として溶血(赤血球などが壊れ、貧血や腎機能障害を引き起こす)や冠攣縮性狭心症があります。上記の論文に冠攣縮性狭心症0.14%、透析を要する急性腎機能障害0.03%で起こった報告されております。溶血に関しては、Hb(ヘモグロビン)2以上低下する貧血の進行(パルスフィールドアブレーション18.6% vs 高周波アブレーション4.6%)、および急性腎機能障害(パルスフィールドアブレーション3.2% vs 高周波アブレーション0%)が高周波アブレーションに比べパルスフィールドアブレーションで多かったとする報告もあります。(原文)通電回数が多くなると溶血がおこりやすいといわれており(原文)、通電回数が多くなりそうな左心房拡大を認める方、貧血の方、腎機能が低下している方に関しては注意が必要です。
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