不整脈・心房細動コラム

全身麻酔による発作性上室性頻拍カテーテルアブレーション 再発率 2020-2022年実績

全身麻酔による発作性上室性頻拍に対するカテーテルアブレーション

発作性上室性頻拍とは、心房に原因があり、突然、1分間に100-200回以上もの頻拍が起こる不整脈です。突然始まり、突然停止することが多いです。動悸、めまい、ふらつきなどの症状が出る方が多く、なかには失神してしまう方もいます。頻拍が長く続くと心不全を起こすこともあります。発作性上室性頻拍の詳細はこちらを参照ください。上室性頻拍多くは、カテーテルアブレーションの適応になります。局所麻酔で行う病院がほとんどです。術中は、不整脈をあえて誘発するため動悸がしますし、不整脈を起こりやすくする薬も使うため脈がはやくなります。心臓の手術ということで極度に緊張しているところに、カテーテルからの刺激や薬で脈がはやくなったり遅くなったりするため精神的に相当な負担があると思います。私たちは、少しでも楽にカテーテルアブレーションを受けていただくため全身麻酔によるカテーテルアブレーションを行っております。男性にはつらい尿道バルーンもいれずに行います。寝ている間に不整脈が治ったと喜びの声を多くいただいております。

誘発率

多くの病院が、局所麻酔でカテーテルアブレーションを行う理由の一つに、発作が誘発されないのではないか?という医療者側の不安があります。2020年5月から2023年6月までに発作性上室性頻拍患者さん124人に全身麻酔によるカテーテルアブレーションを行い、発作が少しも誘発できなかった患者さんは1人(0.8%)だけでした。発作性上室性頻拍でも全身麻酔で問題なく行えると考えております。

再発率

2020年5月から2023年6月までに発作性上室性頻拍患者さん124人に全身麻酔によるカテーテルアブレーションを行いました。平均手術時間は68分でした。詳細は、房室結節リエントリー性頻拍80人、WPW症候群(房室回帰性頻拍)28人、心房頻拍15人、誘発されず詳細不明1人です。術後、再発は3例(2.4%)に認められました。詳細は、房室結節リエントリー性頻拍2人(1.6%)、誘発されず詳細不明1人(0.8%)です。房室結節リエントリー性頻拍やhis束近傍起源心房頻拍では、術者としてはとても神経を使うhis束近傍の通電が必要になります。全身麻酔により呼吸が安定することで安全に通電できており、ペースメーカー植込みになった患者さんはいませんでした。発作性上室性頻拍のカテーテルアブレーションでは3泊4日の入院が必要になります。

ページ著者・監修者 院長 濵 義之

濵 義之

主な経歴

2003年山梨医科大学卒業。循環器科の中でも不整脈を専門とし、心房細動に対するアブレーション手術を得意とする。君津中央病院循環器内科の医長・部長などを経て2020年に幕張不整脈クリニック(千葉市花見川区)を開院。5000件程度のアブレーションに携わり、年間500件以上のアブレーション手術を行う。

資格

  • 日本不整脈心電学会 不整脈専門医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本内科学会 認定内科医